心タンポナーデ

概要

心タンポナーデは心膜腔内に液体や血液が急速に貯留し、心臓の拡張障害をきたす状態。心拍出量が低下し、生命を脅かす循環不全を引き起こす。緊急の診断と治療が必要となる。

要点

  • 心膜腔内液体貯留による心臓圧迫が本態
  • Beckの三徴(低血圧・静脈怒張・心音減弱)が重要
  • 緊急ドレナージ(穿刺)が救命的治療

病態・原因

心膜腔に液体(血液、滲出液など)が急速に貯留することで心臓が外から圧迫され、心室拡張が障害される。主な原因は心膜炎、心臓外傷、心筋梗塞後の心破裂、悪性腫瘍などが挙げられる。特に急性経過の場合、少量でも重篤な循環障害をきたす。

主症状・身体所見

代表的な症状は呼吸困難、胸痛、意識障害。身体所見としては頸静脈怒張、低血圧、心音減弱(Beckの三徴)、頻脈、奇脈(吸気時の収縮期血圧低下)がみられる。ショック症状や末梢冷感も出現する。

検査・診断

検査所見補足
心エコー心膜腔内液体貯留右室拡張障害、心壁の動揺
胸部X線心陰影の拡大急性例では正常もありうる
心電図低電位、電気的交互脈非特異的な場合も多い

心エコーが診断の第一選択であり、心膜腔内液体貯留と心室虚脱所見が決め手となる。奇脈の測定や血圧動態も診断の参考となる。胸部X線は慢性例で心陰影拡大を認めるが、急性例では変化が乏しいことも多い。

治療

  • 第一選択:心嚢穿刺による液体ドレナージ
  • 補助療法:酸素投与、循環作動薬、輸液管理
  • 注意点:原因疾患の検索と治療、再発予防、急速な除去による再膨張性肺水腫に注意

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
急性心不全肺うっ血・ラ音・心拡大心エコーで液体貯留なし
収縮性心膜炎慢性経過・心膜石灰化心膜の肥厚・石灰化
心筋梗塞胸痛・心電図変化・心筋逸脱酵素心エコーで液体貯留なし

補足事項

心タンポナーデは進行が急速な場合が多く、診断・治療の遅れが致命的となる。慢性経過では症状が非典型的なこともあり、鑑別診断が重要。穿刺時は無菌操作と血圧・心電図モニタリングが必須。

関連疾患