小舞踏病
概要
小舞踏病(Sydenham chorea)は、主に小児に発症する舞踏運動を特徴とした神経疾患であり、急性リウマチ熱の一徴候として知られる。自己免疫機序による基底核障害が原因で、発症後は自然軽快することも多い。
要点
- 急性リウマチ熱に合併しやすい舞踏運動性疾患
- 自己免疫反応による基底核障害が病態の中心
- 小児に好発し、自然軽快する例が多い
病態・原因
小舞踏病はA群β溶血性連鎖球菌感染後の自己免疫反応により、基底核(特に尾状核と淡蒼球)が障害され発症する。リウマチ熱の主要な随伴症状の一つで、遅発性に出現することが多い。
主症状・身体所見
四肢・顔面の不随意な速い舞踏様運動、筋緊張低下、構音障害、情動不安定などがみられる。運動症状は左右差があることもあり、日常生活動作の障害を伴う。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血清ASO・ASK | 上昇 | 溶連菌感染既往の指標 |
| 脳MRI | 基底核の異常 | 多くは明らかな異常なし |
| 心エコー | 心炎の合併評価 | リウマチ熱の診断補助 |
診断は臨床所見(舞踏運動、リウマチ熱の既往)と溶連菌感染の証拠に基づく。画像検査は除外診断目的で行われるが、特異的所見は乏しい。
治療
- 第一選択:安静・対症療法(必要に応じてバルプロ酸やハロペリドール投与)
- 補助療法:ペニシリンによる二次予防、心炎・関節炎合併例ではステロイド
- 注意点:心合併症の有無を定期的に評価、再発予防のための抗菌薬投与継続
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| Huntington病 | 成人発症、家族歴、進行性認知症 | 遺伝子検査陽性、MRIで尾状核萎縮 |
| 有棘赤血球舞踏病 | 有棘赤血球の出現、精神症状 | 血液塗抹で有棘赤血球、MRIで尾状核萎縮 |
補足事項
小舞踏病は自然軽快する傾向が強いが、再発や心合併症のリスクがあるため長期フォローが重要。精神症状の合併も多く、家族への説明・支援も必要となる。