副腎白質ジストロフィー
概要
副腎白質ジストロフィー(adrenoleukodystrophy, ALD)は、X連鎖性遺伝によるペルオキシソーム機能異常症であり、極長鎖脂肪酸(VLCFA)の蓄積により中枢神経白質と副腎皮質が障害される疾患。小児期発症型が多く、進行性の神経症状と副腎機能不全を呈する。
要点
- X連鎖劣性遺伝により発症し、男性に多い
- 中枢神経白質の脱髄と副腎皮質不全が主病態
- 進行性の認知・運動障害と早期死亡例が多い
病態・原因
ABCD1遺伝子変異によりペルオキシソーム膜タンパク質の欠損が生じ、極長鎖脂肪酸(VLCFA)の分解障害が起こる。これにより中枢神経白質の脱髄と副腎皮質の障害が進行し、神経症状と内分泌異常を呈する。
主症状・身体所見
小児期発症例では注意力低下や行動異常、視力・聴力障害、痙攣、運動失調、進行性四肢麻痺などがみられる。副腎皮質機能低下による色素沈着や低血圧、低ナトリウム血症なども重要な所見である。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血中VLCFA | 異常高値 | 診断の決め手となる生化学的指標 |
| 頭部MRI | 後頭葉優位の白質異常信号(T2高信号) | 脱髄の進展部位を反映し、病型診断に有用 |
| ACTH負荷試験 | 副腎皮質機能低下 | 副腎不全の評価 |
血中VLCFAの上昇が診断の決め手であり、頭部MRIで後頭葉優位の白質脱髄像を認める。遺伝子解析によりABCD1変異の同定も行われる。
治療
- 第一選択:造血幹細胞移植(早期症例が対象)
- 補助療法:副腎皮質ホルモン補充、対症療法、理学療法
- 注意点:進行例では治療効果が乏しく、早期診断・介入が重要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 異染性白質ジストロフィー | スルファチド蓄積、末梢神経障害を伴う | スルファチド上昇、末梢神経伝導低下 |
| 多発性硬化症 | 再発寛解型、成人発症が多い | オリゴクローナルバンド陽性 |
補足事項
造血幹細胞移植は神経症状出現前~初期に限って有効であり、進行例では支持療法が主となる。新規治療法や遺伝子治療の開発も進行中である。