ツツガムシ病
概要
ツツガムシ病はリケッチアの一種であるOrientia tsutsugamushiによるダニ媒介性感染症で、日本を含むアジア太平洋地域に分布する。発熱、発疹、刺し口(焦点性壊死性病変)が特徴で、重症化すると多臓器障害を来すこともある。適切な抗菌薬治療で予後は良好となる。
要点
- ダニ(ツツガムシ)によるリケッチア感染症
- 刺し口・発熱・発疹が三徴
- 早期診断・治療で予後良好
病態・原因
Orientia tsutsugamushiがツツガムシ属ダニによりヒトに媒介されることで感染する。野山での作業やレジャーなど、ダニに咬まれる機会がリスク因子となる。病原体は血管内皮細胞に感染し、全身性の血管炎を引き起こす。
主症状・身体所見
高熱、全身倦怠感、頭痛、筋肉痛が初発症状として現れる。特徴的な刺し口(黒色痂皮)や紅斑性発疹が体幹・四肢に出現し、リンパ節腫脹を伴うこともある。重症例では意識障害や多臓器障害を生じうる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血清抗体検査(ペア血清) | 抗Orientia tsutsugamushi抗体価上昇 | IgM/IgG抗体上昇を確認 |
| PCR検査 | 病原体遺伝子検出 | 血液や刺し口部検体で実施 |
| 血液検査 | CRP・肝酵素上昇、血小板減少 | 非特異的だが重症度評価に有用 |
診断は特徴的な臨床像と流行地での曝露歴、血清抗体価の上昇やPCRによる病原体遺伝子検出で確定する。画像診断は重症例で臓器障害評価目的に行うことがある。
治療
- 第一選択:テトラサイクリン系抗菌薬(ドキシサイクリンなど)
- 補助療法:解熱鎮痛薬、輸液、臓器障害に応じた支持療法
- 注意点:妊婦・小児ではマクロライド系抗菌薬を考慮、早期治療が重要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| Q熱 | 刺し口・発疹なし、呼吸器症状 | Coxiella burnetii抗体陽性 |
| 発疹チフス | 発疹が末梢から体幹、刺し口なし | Rickettsia prowazekii抗体陽性 |
| 紅斑熱 | 刺し口、発疹、発熱が類似 | Rickettsia japonica抗体陽性 |
補足事項
国内では春と秋に流行がみられ、農作業従事者や野外活動者での発症が多い。適切な抗菌薬治療により重症化や死亡は稀だが、治療遅延例では致死的となることがある。