コレラ

概要

コレラはビブリオ・コレラ菌(Vibrio cholerae)による急性の腸管感染症で、激しい水様性下痢と脱水を特徴とする。主に汚染された水や食品の摂取が原因となり、集団発生や流行を引き起こすことがある。適切な治療を行わない場合、重篤な脱水やショックにより致死的となることがある。

要点

  • コレラ菌による急性水様性下痢と重度の脱水が主症状
  • 汚染水や食品を介した経口感染が主な伝播経路
  • 迅速な補液治療が予後改善の鍵となる

病態・原因

コレラ菌は経口的に体内へ侵入し、小腸粘膜で増殖してコレラ毒素を産生する。毒素は腸管上皮細胞からの水分・電解質の過剰分泌を引き起こし、大量の水様性下痢を生じる。主なリスク因子は衛生状態の悪い環境や安全でない飲料水の摂取である。

主症状・身体所見

突然発症する大量の水様性下痢(米のとぎ汁様便)が特徴で、嘔吐や腹痛を伴うこともある。著明な脱水、低血圧、頻脈、皮膚の弾力低下、口渇、無尿などがみられる。発熱は通常みられない。

検査・診断

検査所見補足
便培養コレラ菌の検出TCBS寒天培地などを使用
血液検査脱水・電解質異常Na,K,Cl,BUN,クレアチニン上昇

便中からコレラ菌を分離・同定することが診断の決め手となる。臨床的には急性の大量水様性下痢と脱水症状が重要な手がかりとなる。迅速診断キットも利用可能である。

治療

  • 第一選択:経口補液療法または静脈補液療法による脱水補正
  • 補助療法:抗菌薬(ドキシサイクリン、アジスロマイシンなど)、栄養管理
  • 注意点:感染拡大防止(隔離・衛生管理)、重症例では迅速な輸液管理

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
偽膜性腸炎抗菌薬使用歴、血性下痢便中にClostridioides difficile毒素
ロタウイルス胃腸炎小児中心、嘔吐が顕著便中ウイルス抗原検出
細菌性赤痢発熱や血便、しぶり腹便中に赤痢菌検出

補足事項

コレラは適切な補液で致死率が大幅に低下する。ワクチン接種も一部地域で行われている。流行地では公衆衛生の整備が最重要である。

関連疾患