コレステロール塞栓
概要
コレステロール塞栓は、動脈硬化病変から遊離したコレステロール結晶が末梢血管を閉塞し、多臓器障害を引き起こす疾患。カテーテル治療や抗凝固療法などの医原性要因で発症することが多い。腎、皮膚、消化管など多臓器に虚血性障害を呈する。
要点
- 動脈硬化巣からコレステロール結晶が末梢動脈に塞栓
- 急性腎不全や皮膚紫斑、消化管障害など多彩な臓器障害
- 血管内治療や抗凝固薬投与後に発症しやすい
病態・原因
動脈硬化性プラークが破綻し、コレステロール結晶が血流に乗って末梢動脈を塞栓する。カテーテル治療、血管造影、抗凝固療法や外傷などが誘因となることが多い。高齢男性や動脈硬化リスクの高い患者に多い。
主症状・身体所見
急性腎障害、皮膚の網状リビドーや紫斑、足趾の壊死、消化管症状(腹痛・下血)、網膜塞栓による視力障害などがみられる。全身症状として発熱や筋肉痛を伴うこともある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 腎機能検査 | 急性腎不全(クレアチニン上昇) | 多くは進行性 |
| 皮膚・腎生検 | 血管内コレステロール結晶 | 診断の決め手 |
| 眼底検査 | Hollenhorst斑 | 網膜動脈塞栓の証明 |
| 血液検査 | 好酸球増多、CRP上昇 | 非特異的炎症反応 |
診断は臨床経過、誘因(血管内操作や抗凝固療法)、多臓器障害の組み合わせから疑う。生検でのコレステロール結晶確認が確定診断となる。画像では腎萎縮や塞栓部位の虚血像が参考となる。
治療
- 第一選択:支持療法(対症療法、腎代替療法など)
- 補助療法:ステロイドやスタチンの使用例もあるが効果は限定的
- 注意点:抗凝固薬や血管内治療の適応に慎重を要する
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 急性腎間質性腎炎 | 薬剤歴、発熱、皮疹 | 生検で好中球浸潤、結晶なし |
| 血栓性微小血管症 | 溶血性貧血、血小板減少 | 末梢血塗抹で破砕赤血球 |
補足事項
腎障害は不可逆的で慢性化することが多く、予後不良例が多い。カテーテル治療や抗凝固療法を行う高リスク患者では発症予防策が重要となる。